亜鉛は身体の成長と維持に重要なミネラルの一つです。亜鉛が不足してしまうと身体に様々な症状が出てくることもあります。
この記事では亜鉛がどのような働きを担っているのか、健康に良いと言われる理由などを解説していきます。
亜鉛とは
亜鉛は体内で作ることができない「必須微量ミネラル」で体内に約2~4g存在しています。主に皮膚や骨、肝臓、眼球、筋肉などに含まれていて、約200種類以上の酵素の構成成分であり、大変重要なミネラルです。
亜鉛の働き
亜鉛は先ほど説明したように約200種類以上の酵素の構成成分であるため、様々な生体内の反応に関与しています。
アミノ酸からのたんぱく質の再合成、DNAの合成にも必要なので、胎児や乳児の発育や生命維持に非常に重要な役割を果たしています。また、味覚に関わる細胞をつくる働きもあります。その他、免疫反応の調節、骨の成長、ホルモンの合成と分泌の調節などの働きを担っています。
亜鉛の健康効果
亜鉛は健康に良いと言われますが、具体的にどのような健康効果があるのか解説します。
抗酸化作用
亜鉛はビタミンAの活性化を促します。ビタミンAには抗酸化作用があり、活性酸素や過酸化脂質を抑えます。
亜鉛が体内にあるビタミンAの代謝を促し、抗酸化作用を活性化させることでアンチエイジングや生活習慣病などの抑制に効果が期待できます。
活性酸素とは
呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が変化したもの。体内で免疫機能などに関与しているが、過剰になると細胞を傷害し老化やがん、生活習慣病などを引き起こす原因となると考えられている。
免疫力向上
亜鉛が活性化させるビタミンAには抗酸化作用だけでなく、粘膜を保護する働きもあります。ビタミンAが活性化することで、粘膜から入り込むウィルスや細菌から身体を守る働きを強化します。また、病気を引き起こす細菌を攻撃する白血球にも亜鉛が含まれているので、傷や病気の早期回復にも亜鉛は必要とされています。
髪や肌の健康維持
亜鉛は皮膚などの構成成分であるたんぱく質の合成にも関わっています。亜鉛を十分に摂取することで皮膚の炎症やかゆみなどのトラブル、脱毛などの症状を回避できると考えられています。その結果、美肌・美髪効果が期待できます。
亜鉛が不足すると
通常に食事をしていれば亜鉛が不足することはあまりないですが、偏りのある食事や過度なダイエットを行っていると亜鉛不足になってしまうことがあります。最近だと断食などがダイエット法の一つとして注目されていますね。では亜鉛が不足するとどのような影響があるのでしょうか。
成長障害
亜鉛は多くの酵素の構成成分となり、タンパク質やホルモンの合成、DNAの複製などに深く関わります。そのため、不足してしまうと乳幼児や子どもでは身長が伸びなかったり、低体重などの成長障害を起こすことがあります。
免疫力の低下
亜鉛は免疫機能に関わりのある細胞の働きに影響があります。そのため、不足すると免疫力が低下し、肺炎などの感染症にかかりやすくなります。
味覚障害
普段私たちは舌にある味蕾(みらい)という器官で食べ物の味を感じ取っています。味蕾は新陳代謝が活発で約4週間のサイクルで生まれ変わります。新陳代謝を促すために必要な亜鉛が足りなくなると、味覚障害が起こることがあります。味覚障害が起こると、味が分からなくなったり、舌がピリピリして苦い味がするなどの症状が現れます。
亜鉛の過剰摂取
亜鉛が健康に効果的だからと言って、サプリメントなど過剰に摂取すると急性亜鉛中毒になる可能性があります。急性亜鉛中毒になると、吐き気などの胃腸障害やめまいなどの症状を引き起こします。
その他、免疫障害や神経症状、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の低下などの症状を引き起こす危険性もあるので摂取量には注意しましょう。
亜鉛の一日の摂取量
不足しても過剰に摂取しすぎてもいけない亜鉛ですが、一日にどれくらい摂取すべきなのかを以下まとめているので参考にしてみてください。
男性 | 女性 | |||||
年齢 | 推定平均必要量(㎎) | 推奨量(mg) | 耐容上限量(mg) | 推定平均必要量(mg) | 推奨量(mg) | 耐容上限量(mg) |
18~29歳 | 9 | 11 | 40 | 7 | 8 | 35 |
30~64歳 | 9 | 11 | 45 | 7 | 8 | 35 |
65~74歳 | 9 | 11 | 40 | 7 | 8 | 35 |
75歳以上 | 9 | 10 | 40 | 6 | 8 | 30 |
耐容上限量とは過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量です。
亜鉛を多く含む食品
亜鉛は魚介類に多く含まれていますが、その中でも、牡蠣やうなぎは亜鉛の量が多い食材です。牡蠣には100gあたり14.5㎎と亜鉛が多く含まれているため、少ない量で多くの亜鉛を摂取することができます。
その他、豚レバー(6.9mg)、牛もも肉(4.4mg)、鶏もも肉(2.0mg)などの肉類、納豆(1.9mg)や高野豆腐(5.2mg)大豆食品などにも多く含まれています。(100gあたり)
まとめ
いかがでしょうか。亜鉛の働きや健康効果について解説しました。
健康に良いとよく言われる亜鉛ですが、
・抗酸化作用
・免疫力向上
・肌や髪の健康維持
これらの健康効果が期待されます。
偏りのある食事や過度なダイエットで不足してしまうことがありますが、摂取しすぎると急性亜鉛中毒になりめまいや吐き気などの症状を引き起こすので摂取量には注意しましょう。
健康目的やダイエットでファスティングや断食などを行うのも良いですが、正しい方法で行いましょう。ファスティングに関する記事もあるので是非参考にしてみてください。