以前牛乳は体にいいと記事で言ってましたよね?
あれから気になって私も色々調べたら、牛乳には牛のホルモン剤などが使われていて、良くないとか出てきたんですけど…。
ちょっと待ってください!
そのウワサって本当ですか?
今回は牛乳にまつわるウワサとその真偽について紹介していきます!
はじめに
みなさん以前の記事で牛乳について興味を持ってもらえたと思います。
(まだみてない方はぜひこちらから!)
ですが牛乳について調べていくと「牛乳を飲むとむしろカルシウムが減る」、「牛乳は消化されにくい」「牛乳には牛のホルモン剤や抗生物質が使われていて危険」などなど…。
こんなウワサを耳にしたり、見たりして不安に思った人もいるのではないでしょうか?
しかも大体そういう記事には、それっぽい内容が書いてあります。
本当にそうなのかなと思ってしまいますよね。
しかし、それらのウワサは本当に正しいのでしょうか?
本当に牛乳は体に悪いのでしょうか?
そんなみなさんの疑問、不安を払拭するためにウワサの真偽を調べました!
牛乳のウワサ
さて、早速ウワサの真偽についてみていきましょう。
牛乳にはホルモン剤や抗生物質投与されており危険である
結論から言うと、これは間違いです。
まず第一に日本ではホルモン剤の投与は法律で禁止されています。
そして抗生物質に関してですが、乳牛も動物なので病気にかかることはもちろんあります。
その際抗生物質や医薬品が投与されることは事実です。
ですがその場合、薬剤の投与終了後の定められている一定の期間を含め、搾乳された生乳の出荷は禁止されています。
更に出荷中の生乳に対しての薬剤検査も徹底的に行われています。
例えば乳牛工場では、受け入れる全てのタンクローリー乳を対象に、通称PD法と呼ばれる抗生物質残留確認検査を行なっています。
また、残留農薬等についても安全が保たれる、ポジティブリスト制度による規制が厳しく敷かれています。
日本では薬剤に対して、厳しい検査や取締りがあるんですね。
そうです!
厳しい規制が敷かれているので、安心して牛乳を飲むことができます!
法律でしっかり定められているので、無論これは間違いと言えますね。
牛乳を飲むとカルシウムを獲得できるどころか、排出されてしまう
こちらも結論から言うと間違いです。
恐らく体内からリンが排出される際にカルシウムを伴うメカニズムの誤認から生まれたウワサですね。
まずリンとカルシウムの仕組みから整理しましょう。
リン
リンは体内に存在するミネラルです。
エネルギーを作りだしたり、生命の維持や活動に置いて大事な役割を持っています。
体内のリンの85%は、カルシウムやマグネシウムとともに骨や歯をつくる成分として存在しています。
そして残りの15%は筋肉、脳などのさまざまな組織に含まれていて、エネルギーをつくり出す役割を果たしています。
カルシウム
カルシウムは骨を構成する主な成分です。
体内のカルシウムの99%は骨と歯に使われています。
残りの1%は血液中や細胞に存在しており、出血を止めたり、神経や筋肉で働いたりして、生命の維持や活動に重要な役割を担っています。
また血中のカルシウム濃度は一定に保たれており、血中のカルシウム濃度が少なくなると、骨からカルシウムが溶け出して補われます。
これがリンとカルシウムの特徴です。
ではなぜリンは体内から排出される際にカルシウムも伴うのか。
我々は新陳代謝をすることで生きています。
それによって体は古いものから新しくなり、日々体が保たれているわけです。
無論骨の細胞も例外ではなく、少しずつ新しいものと日々入れ替わっています。
そのため、カルシウムとリンは毎日必要な一定量が消費され、リン酸カルシウムの形で体外に排出されるのです。
これがそのメカニズムです。
つまり、新陳代謝のための排出は必須なわけですね。
しかし、リンを摂りすぎてしまえば、それに伴いカルシウムも多く排出されてしまう可能性はあります。
それを踏まえて、牛乳に含まれているカルシウムとリンの量を見てみましょう。
牛乳1杯(200mL)に対して、含まれるカルシウムは227mg、リンは192mgとなり、カルシウム とリンの比率は1:0.8。
18歳以上の女性のカルシウム とリンの一日当たりの推奨摂取利用は、以下になります。
カルシウム:650mg (推奨量、女性18 歳以上)
リン:800mg (目安量、女性18 歳以上)
※日本人の食事摂取基準(2015 年版)
これを元にカルシウムとリンの比率を出すと、1:1.2となります。
この数字からわかるように、牛乳を摂取することでリンを取りすぎることはありません。
この場合の比率で見れば、リンは他の食品からもう少し取る必要があります。
更にカルシウムの1日の推奨量を牛乳だけで賄おうとすると3杯、それに伴うリンは576mgと1日の量すら届きません。
つまり牛乳を普通に飲む分には全く問題ないわけですね。
その通り!
完全なデマで、牛乳はカルシウムを取る上で優秀な食品なのです。
牛乳は加熱殺菌され、タンパク質が変性し消化・吸収がされにくくなる
こちらは一部ホントで、一部間違っています。
加熱されることによって、タンパク質が変性するのは間違っていません。
牛乳の場合120℃以上で加熱すれば、タンパク質は加熱変性を起こします。
ですが、そもそも加熱変性とはどう言うことかみなさんご存知でしょうか?
変性というのは、タンパク質の立体構造が変化することです。
つまりタンパク質の構造が変わるのであって、タンパク質を構成している各アミノ酸が壊れてしまうわけではありません。
もう少しわかりやすく例を挙げると、例えば生卵を加熱すると目玉焼きやゆで卵になりますよね?
あれと同じです。
加熱変性というのは、このように生卵がゆで卵になる変化と要は一緒なのです。
じゃあそれによって栄養価は変わるの?という話ですが、通常の加熱において栄養価は変わりません。
むしろ加熱変性が起きることで、消化酵素の作用を受けやすくなるため、消化や吸収はよりよくなります。
消化や吸収が良くなれば、栄養価はむしろ高まることがわかると思います。
なるほど、加熱してもタンパク質は特に問題ないのですね!
でもちょっと待ってください。
タンパク質は問題なくても、カルシウムやビタミンはどうなんですか?
いい着眼点ですね!
カルシウムやビタミンも基本的には問題ありません。
まずビタミンについてですが、ビタミンA、E、B1、パントテン酸、葉酸、ビタミンCなどが熱に弱いとされています。
そのため加熱殺菌により、どうしてもビタミン類は一定量減少してしまいます。
ですがビタミン類の減少が嫌だからといって殺菌をしなければ、食中毒の危険性はあります。
(生乳には有害なバクテリアが混入している可能性があるため)
これを天秤にかけた時に、どちらが良いかという話です。
無論食の安全性の観点から、殺菌は避けられないことがわかることかと思います。
ちなみに加熱されたからと言って、ビタミン類が全てなくなってしまうわけではありません。
市販のものでも、一定量含まれています。
次にカルシウムについてです。
カルシウムは、超高温殺菌によって乳中の一部のリン酸塩が不溶化、つまり吸収されにくい形になります。
ですが胃の中に入ってしまえば、胃酸などの作用によってイオン状に戻り、消化吸収されやすくなります。
なるほど!
つまり、口に入る時はイオン状じゃなくても、胃に入れば戻るわけですね!
そういうことです!
でも、”カゼインがカルシウムを含め、栄養素の吸収を邪魔する”
という意見もあるので、それについて次でお答えしましょう
カゼインは栄養素の吸収を邪魔する
牛乳に含まれるカゼインが栄養素の吸収を邪魔するというウワサ。
これは間違っています。
カゼインが胃の中に入った際カード状と呼ばれる、乳中のタンパク質が酸で凝固したものを作り、これが栄養素の吸収を邪魔をするという理論のウワサです。
しかしこれは間違っているのです。
確かにカゼインは胃の中に入るとカードを作るのは間違っていません。
実際、そのままカゼインのカードが消化されずに胃・腸の中に滞留すれば、吸収を妨げる可能性はあるかも知れません。
ですが、カゼインはちゃんと消化されます。
カード状になったカゼインは消化がゆっくり進み、十二指腸や小腸でも消化液が分泌され消化されていきます。
この時カゼインはカゼインホスホペプチド(CPP)を生成します。
CPPはカルシウムをよく捕まえ、腸管からの吸収を助けるのだそうです。
これが実は牛乳が、他の数多あるカルシウム食品の中でも吸収率が高く、おすすめの食品となる要因なのです。
カゼインはむしろ、カルシウムの吸収を助けてくれいるのですね!
そういうわけです!
これが牛乳の優秀なポイントなのです!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回紹介したのは、牛乳に関するウワサでよく出回っているものを取り上げました。
ですがよく調べてみてれば、法律で禁止されていることだったり、メカニズムの誤認だったりどれも間違いのものが多かったですね。
この他にも牛乳に関するウワサがあるので、また近いうちに第二弾もあげるかも知れません!
それでは今回はここまで!
また次回の記事でお会いしましょう〜〜〜