近年、健康維持やダイエット目的でデトックスが注目されています。デトックスをする際に重金属デトックスという言葉を聞いたことがありますか?身体の中に溜まる重金属とは一体何なのでしょうか。
今回の記事では重金属についてなぜデトックスが必要なのか、重金属を溜めておくと身体にどのような影響を及ぼすのかなど解説していきます。また、重金属を排出するには、近年注目されているファスティング(断食)が最も効果的です。ファスティングで重金属の排出が起きるメカニズム、デトックス効果を解説します。
食品に含まれる重金属とは
重金属の説明をする前に、ミネラルの話を少しします。ミネラルと聞くと、何となく人体に必要で、十分とらないと体が不調になると思っている人が多いと思います。そのミネラル(鉱物)ですが、実は金属と非金属に分けられ、金属の中でも比重が4以上のものを「重金属」といいます。
金属と聞くと人の体とは無関係なものに思えますが、私たちの体内には知らないうちに重金属が蓄積しています。重金属は基本的に食事によって体内に取り込まれます。食事は行きていく上で欠かせない行為ですが、現代社会の食品には、「食品添加物」やファイトケミカル(植物性化学物質)が大量に含まれています。
当然これらが含まれた食べ物を沢山摂取することで「重金属」は身体にどんどん溜まっていきます。特にストレスや寝不足、ホルモンバランスの乱れなどで、消化器の機能が低下すると、これらの化学物質が正しく排出されず、どんどん身体に溜まり、それがストレスや体調不良の原因になるという悪循環をもたらします。
重金属の溜め込みが身体にもたらす影響
汚染された大気や化学肥料、化粧品や洗剤、そして地中の鉱物が溶けだした地下水やそれを使った農作物など、避けたくても避けられないものに重金属は入っています。しかし、全ての重金属が身体に有害になるのではなく、人にとって必須性が証明されているものと、現時点では有害あるいは必須性が証明されていないものがあります。
重金属を溜め込むことによる身体への健康影響は高濃度に暴露された重金属の毒性と身体に取り込まれる量によって左右されます。幸い日常生活の中で溜まる重金属では、余程のことが無い限りすぐに死に至ることはありません。
しかし重金属がアルツハイマー病やパーキンソン病などに関係していると言われたり、発達障害や慢性疲労症候群、アトピーや喘息などのアレルギー疾患と密接に関連していることがわかっています。以下の重金属は溜め込むと身体に有害と言われている「有害ミネラル」とも言わているものです。
水銀
有害ミネラルの代表例と言われるのが水銀です。水銀は、有機水銀と無機水銀の2つに分類されます。生活環境で摂取する有機水銀の大部分はマグロなどの大型魚に含まれています。過剰蓄積すると、中枢神経系障害や腎臓障害、消化機能異常などになる可能性があると言われています。
鉛
鉛水道管、ハンダ、白髪染め、印刷インク、塗料などが汚染源です。過剰蓄積により貧血や、腎臓障害、神経障害、脳発達障害などになる可能性があります。
ヒ素
ヒ素は、有機ヒ素よりも無機ヒ素の方が毒性が強いと言われています。残留農薬、井戸水、海藻類(ひじき)などに含まれ、過剰蓄積すると、色素沈着、皮膚角化症、皮膚癌などになる可能性があると言われています。
カドミウム
カドミウムは石油や石炭の燃焼による排出が一般的です。しかし近年、喫煙者のカドミウム濃度が非喫煙者の約2倍であったということお過剰蓄積による症状は腎臓障害骨粗鬆症、骨軟化症、貧血などがあります。
アルミニウム
アルミ缶、アルミホイル、食品包装などで利用されており、主に保存容器から摂取する機会が多いと思います。過剰蓄積により腎臓障害や骨軟化症などになる可能性があると言われています。
有害ミネラルと公害
日本の高度経済成長期には、重化学工業化のために産業公害が拡大し、それらの廃液により人体に有害ミネラルが蓄積されて、重度の障害をおこす四大公害事件と言われる公害病が多発しました。以下簡単に説明します。
水俣病
熊本県の水俣湾周辺で水俣湾の魚や貝を食べていた漁民や周辺の人が手足や口のしびれる症状が出て、死亡する人もいました。付近の工場廃液に含まれるメチル水銀が魚や貝に蓄積し、それを長い間食べていた人が発病したことが原因でした。
新潟水俣病
新潟県阿賀野川流域で熊本と同じ水銀による公害病で、第2水俣病と呼ばれました。裁判結果は、会社に賠償命令が出ました。最終的に認定された患者数は700人になりました。
イタイイタイ病
富山県神通川流域で第二次世界大戦の頃から発生した公害病。子供を出産した女性に多く発症し、手足の骨がもろくなり、激しい痛みが伴うので、イタイイタイ病と名が付けられました。鉱山廃液に含まれるカドミウムが原因でした。
四日市ぜんそく
三重県四日市市を中心とした地域で発生。多くの人が気管支炎やぜんそく、肝障害を起こし、死者も出ました。石油化学工場から出る煤煙中に含まれる亜硫酸ガスによる空気の汚れが原因でした。
重金属のデトックス
これまで説明してきたように、重金属は身体に溜め込みすぎると悪影響をもたらします。そのため、溜まった重金属は体外に排出(デトックス)する必要があります。本来の人間の体は汗やリンパ、そして大小便などによって不要なものを自力で排出する力を持っています。
しかしその排出ルートでは間に合わないほどに重金属が溜まってしまうと、皮膚などのいつもと違う場所に影響が出始めたり、原因不明の不調が起きます。排出の必要性があるからと言って、例えばマグロなどの大型魚を一切食べないなんてことは難しいですよね。そこで、ここでは有害ミネラルのデトックス効果をより高める方法を解説します。
栄養素を摂取する
デトックス効果のアップが期待できる栄養素を積極的に摂りましょう。具体的に摂るべき栄養素の代表例と効果を解説します。
ビタミンC
水銀によってダメージを受けた細胞を速やかに修復します。レモンや柚子、柿などが代表で、システインなどと一緒に摂取することでより高い効果を得られます。
システイン
硫黄分を含むアミノ酸のひとつ。豆類、玄米、ニンニク、タマネギなどシステインを多く含む食材を食べることで重金属の排泄を促します。
食物繊維
有害ミネラルと結合し、便からの排泄を促します。きのこ類、豆類、ゴボウなどが普段の料理に取り入れやすいのでオススメです。
乳酸菌&発酵食品
これらの栄養素を意識して摂ることで、有害ミネラルの排出促進に役立ち、有害ミネラルを吸収しない腸内環境に整えます。味噌や納豆などがおすすめです。
ファスティング
デトックス効果を高める方法として最近特に注目されているのがファスティングです。ファスティングによって、重金属が排出されるメカニズムを解説します。
消化器官が休まり排出機能が高まる
ファスティングは基本的に消化器官を休ませる目的で行います。決して、食べないことでダイエットを目的としたものではありません。(副産物として高いダイエット効果があります)一定期間固形物を食べないことで、その間、消化器官が休まり、排出機能が高まります。
排出機能が高まることで、身体に溜まっている毒素もどんどん排出されます。さらに軽い運動や半身浴で発汗を同士に行うことで、相乗効果で排出機能がどんどん高まります。ただ「断食する」だけではなくファスティング中はより効果を高める行為を合わせて行いましょう
オートファジーによるデトックス効果
さらに、ファスティング期間中は身体が栄養を細胞や脂肪から絞り出そうとします。これをオートファジーといいます。オートファジー過程で、溜め込まれた重金属などを排出し、身体に良い栄養素だけを身体に残そうとします。これらの相乗効果位により、デトックス効果が高まります。
ファスティングは重金属のデトックスに非常に効果的ですが、正しい知識を付けて正しい方法で行わなければ高い効果は期待できません。ファスティングについて詳しい記事もいくつかあるので参考にしてみてください。
免疫力アップで毒素に強い身体に
ファスティングを行うことで、免疫力が高まることが科学的に照明されています。メカニズムとしては、意図的な飢餓状態を作ることにより、身体はこれ以上体調不良を起こさないようにします。ここで活躍するのが、「免疫細胞」です。
ファスティングを行うことで、細胞のターンオーバーが起こります。その過程で、古い免疫細胞が一掃され、新しい免疫細胞が活発に作られます。これらの免疫細胞が、身体に溜め込まれた有害物質を浄化します。
重金属のデトックスにはファスティングがおすすめ!
いかがでしょうか。重金属について身体にもたらす影響やデトックスの必要性、方法について解説しました。重金属は生活をしていると知らないうちに溜まっているミネラルで、有害な重金属を身体に溜め込むと発達障害や慢性疲労症候群、その他にも様々な影響をもたらします。
そのため、デトックスを行う必要があります。デトックス効果がある栄養素を摂取したり、ファスティングを行うなどで身体に溜まっている重金属を排出することを意識しましょう。